授業の中で話が脱線し別の科目の説明になることがある。
例えば高校の現代社会の「温暖化」の問題では、教科書の説明には「主に石油・石炭などの化石燃料を燃やすことで、生活に必要なエネルギーが得られる」と書いてある。
質問をしながら理解させていく「中学生のときもやった『化石燃料』って何?」
生徒「え?」さっそく教科書や問題集を確認…
私「約40億年前の地球の大気というのはものすごく二酸化炭素を含んでいて、とても生物が生きられる環境ではなかった。けれども光合成をする植物プランクトンみたいな生物が生まれて光合成で二酸化炭素を吸収して酸素を出して、だいたい30億年かけて地球上に大量の酸素ができた。それでオゾン層が作られて紫外線をさえぎるようになり、今みたいな動植物が生きられる環境になった。その植物プランクトンを食べる動物プランクトンが生まれて食物連鎖を繰り返して、死骸は海中に沈んでいく。それが積み重なって圧力がかかったりしてできたのが石油。その後に表われた生物の死骸が積み重なった後に圧力がかかってできたのが石炭、では、問題、
なんで二酸化炭素が多くなると地球が温まるの?」
私、生徒に参考書と教科書を渡して確認…
私「さっき言ったとおり、約40億年前の地球には二酸化炭素が多く含まれていて、だから地球はすごく暑かった。なぜかというと二酸化炭素には太陽の熱を吸収して、そして地表の熱をためこむ性質があるから」
次は「オゾン層の破壊」について。
ここで単にオゾン層がフロンガスによって失われている、とだけ説明してもつまらない。
「オゾンとは何か」「フロンとは何か」ということを学習。
「オゾンとは酸素に近い物質で、常温では気体状、非常に特徴的な刺激臭を持つため、ギリシア語の「オゾン」(臭い)という名前がつけられて、もともと腐食性が強く、濃度が高いと人体もただれさせてしまうもの。空気中に紫外線が当たると酸素に反応して発生する。また雷が発生した時も大気中にオゾンが大量に発生する。」
「だから空気中の酸素と紫外線がぶつかって『オゾン層』というのができあがったのさ。つまり酸素と紫外線が激しくぶつかるような化学反応があるとオゾン層ができるんだから、紫外線を『吸収してくれる』ということになる」
では「紫外線て何?」
と聞いてみる。
生徒、「?」という表情になり、「虹には色がいくつある?」
と虹の色を言わせて、「この7色は『可視光線』といって、人間が見える光の色なのさ。でも人間の目には見えない光ってのもあって、それが紫の次にあるから『紫外線』と呼ぶのさ。英語で『ultraviolet』、つまり『紫を超えた』って意味で、だから略して『UV』って呼ぶんだよ」
ついでに『赤外線』というのも「赤の次に存在する、人間の目には見えない光」と説明しました。
「あ、でも虫は紫外線が見えるよ。だから花は虫から見るとぜんぜん違う色らしいよ。紫外線を花にあてると、黄色い花は白に見えたり、白い花は紫に見えたりするらしくて、虫はそれに反応して近寄ってくるんだって」
そして「紫外線」は波長が長い……簡単に言うと「非常に強い光だ」と説明し、
「だから人間の体にいろいろな影響を与える。日焼けしたりね。でも人間の体内にビタミンDを作り出してくれることもあるから、なくなったら困るんだけどね」
それから「フロンとは何か」を説明したり、フロンがどうしてオゾン層を破壊するのかとか、熱帯林がなぜ失われていくのか、熱帯林がないとなぜ困るのか、森がなくなって植物が生えにくい環境になったことを「砂漠」と呼ぶとか、酸性雨って何が混じっているから酸性雨というのかとか説明したのですが、よく考えたら話をしたほとんど「理科」の分野だったていう話。